国税庁の公表値によれば、相続財産全体のうち土地家屋が占める割合は約58%にも達しています(平成21年)。不動産にどのような対策がなされているかによって相続税評価額に大きな差が出てきますし、さらに納税資金の問題とも密接に絡んできます。
不動産に対する代表的な対策としては、以下のものがあります。
1.小規模宅地の特例の活用
2.土地活用の検討
相続税課税における宅地の評価方法には、路線価方式と倍率方式の二つの方法があります。宅地の価額は、「1画地の宅地」すなわち利用の単位となっている1区画の宅地ごとに評価します。
路線価方式とは、路線(道路)に面している標準的な画地を有する宅地の価額(路線価)を基に、その宅地が路線に接している状況や形状などに応じて奥行価格補正、側方路線影響加算のなどの画地修正をした価額によって評価する方式です。
通常、路線価方式は、路線ごとに地価事情が異なる「市街地」の評価について採用されています。
倍率方式とは、宅地の固定資産税評価額に一定の地域ごとにその地域の実情に即するように国税局長が定める倍率を乗じて評価する方法です。
この方式は比較的地価の価格差の小さい地域の評価に採用されています。固定資産税評価額は、固定資産税通知書またはその宅地がある市区町村の役所・役場で調べてください(固定資産税通知書の固定資産税課税標準とは違いますので、気を付けてください。)。
人に貸している土地で、建物所有目的となっている宅地を「貸宅地」といいます。言いかえれば、貸宅地とは、借地権の設定されている宅地のことであり、自用地と比較すると、利用上の制約や処分の制限をうけるため、その評価にあたっては、借地権相当額を、割り引いて行うことが必要となります。
普通借地権を設定している場合は、それ自体が取引の対象とされ、また、借地契約に際し一定の権利金の授受が慣行化して、その地域における借地権割合が形成されています。そこで、普通借地権が設定されている宅地(底地)の価額は、原則として次の算式により評価されます。
その宅地の自用地としての価額×(1-借地権の割合)=貸宅地の価額
なお、普通借地権の設定に際し、通常権利金の授受がないなど借地権の取引慣行がない地域にある貸宅地を評価する場合には、上記算式中の借地権割合を20%として計算します。
普通借地権の設定時に権利金を支払う代わりに、相当の地代(その土地の自用地としての相続税評価額の過去3年間の平均額のおおむね6%相当額の年間地代)を支払っている場合には、借地権の価額はゼロとして取り扱われます。
ただし、相当の地代を収受している貸宅地の評価額は、貸しているという事実を考慮して、自用地としての評価額の80%相当額とすることとされています。そして、その貸宅地の所有者が被相続人である場合において、その被相続人が同族株主関係者となっている同族会社がその土地の借地人となっているときは、その同族会社の純資産価額方式による株式の評価については、その土地の自用地としての価額の20%相当額をその会社の資産(借地権)として計上することとされています。