遺言とは、遺言を行った人の最終的な思いを死後に実施させるために行われる意思表示のことをいいます。
被相続人がご家族のことをお考えになって遺言を作成されるとしても、法を逸脱した形式・内容であったとしたら、かえって後に問題を引き起こしかねません。正しい知識のもとに遺言書を作成することが必要です。
遺言を作成するメリットとしては以下のものが考えられます。
相続が発生した場合、遺言がなければ法定相続にしたがって遺産の分割が行われますが、遺言は法定相続に優先させることができます。遺言者が特定の相続人に法定相続分を超えて遺産を相続させたいとの思いがある場合、その内容を遺言としておけばその意思を反映させることが可能となります。
遺言を作成しておかなかったために親族・兄弟間で相続財産の分割をめぐり争いが生じるケースは少なくありません。生前は仲が良かった親族間でも、いざ相続が発生しお金のことになると親族間の円満よりも自分の権利を優先するといったことが起こり得ます。
遺言を作成しておけば、こうした親族間の争い・遺恨の発生を未然に防止できます。
遺言により財産の相続先が明確であれば、遺産分割協議を経ることなく単独で名義変更手続を実施できます。遺産分割協議書の作成も不要です。
遺言書の作成方法は(1)自筆証書遺言、(2)公正証書遺言、(3)秘密証書遺言、(4)特別方式の遺言と4つありますが、本人が直接遺言書を書く方法は(1)自筆証書遺言となります。ここでは自筆証書遺言について遺言書作成のポイントをご紹介いたします。
①全文自筆で書きます。
パソコンでの作成 やレコーダーへ録音したもの、他人の代筆によるものは無効となります。
②紙の種類は自由です。
ノートや便箋、紙の切れ端に書いたものでも有効となります。
③タイトルは「遺言書」とします。
④末尾に作成年月日を書き、署名・押印します。
⑤相続財産ははっきりと特定できるように書きます。
不動産:登記簿謄本の通りに記載します。
預貯金:銀行名、支店名、口座の種類、口座番号を記載します。
株 式:銘柄、株数を記載します。
⑥⑤以外の財産についても分け方を明記します。
財産の書きもれがあった場合には遺産分割協議が必要になりますので、以下のような一文(例)を記載します。
⑦遺言執行者の指定をすることができます。
遺言執行者とは遺言書の内容を執行する人のことで、財産管理や各種手続きを行う権利を持ちます。遺言者執行者を指定することで手続きがスムーズになります。
⑧訂正箇所があった場合は書き直します。
訂正は決められた方法により行う必要があります。訂正方法が間違っていれば、遺言書が無効となることもありますので、訂正箇所があった場合には書き直しをお勧め致します。